スムースレザーのケア 3つのサイクル


■ケア1 よごれを落とす

シューズケア用品1 梅雨の時期、また冬に毎年困るのが雨ジミです。
雨ジミになって履いていない...雨ジミになってしまったら終わり...と考えていませんか?
実は雨や雪によるシミや白く浮いた粉などの汚れを落とす方法があるのです。白く浮いた粉、これは靴の革の中にたまっている汗の成分の一つで塩分です。この成分は濡れなければ革に潜んだままですが、雨に濡れたことによって出てくるのできれいな水で濡らせばもっともっと出てきます。
この時に栄養補給を備えたサドルソープという皮革専用石鹸(スムースレザー専用)で水洗いすることでシミをおとすことができるのです。
それでは方法です。
まず靴全体をスポンジなどで濡らします。その後、サドルソープを泡立てて靴全体をスポンジで洗います。
洗ったあとはタオルやスポンジで拭き取ります。(保革成分があるため泡を落とすというより拭き取るというかんじで)
その後新聞紙を丸め靴に詰め込み陰干しします。ドライヤーやヒーターは革が化学反応をおこし変化してしまうため使わないで下さい。
このようにして、汚れをしっかりおとすことが出来ます。また水分を失ってカサカサしていた革も洗った後は潤いを取り戻しています。
落とした後は、そう防水です。シミに再びなりにくくするには必ず必要です。

手順としては、
【落とす】(サドルソープ.ステインリムーバー)
 ↓
【与える】(乳化製クリーム)
 ↓
【防ぐ】(はっ水スプレー、油性ワックス)

この3つのサイクルでケアは成り立ちます。皮革を水で洗うこと、そんな考えはまだ日本では半信半疑かもしれません。
しかし革の文化の発達した欧州ではかなり前から使用しています。人間の肌に水分が必要なように生きた革にも水分が必要で革と水は犬猿の仲ではないのです。このように革とうまくつきあうことで新潟の冬も十分オシャレを楽しめます。

【写真上:サドルソ-プ ¥990、写真下:ステインリムーバー ¥660(どちらもスムースレザー専用)】

■ケア2 栄養を与える

シューズケア用品2 ケア1の雨ジミ対策にあった”落とす”の次ぎの”与える”に使う乳化製のクリームです。

これは靴墨でもワックスでもありません。油性タイプとの違いは、ロウや油分だけでなく水が入っているため革に浸透し柔軟に保つことが出来ます。
(油性ばかり塗り続けると革が硬くなりひび割れが生じてしまいます)
栄養を与えるという意味で乳化製クリームは革に必要不可欠な存在です。


【写真上:M.モゥブレィシュークリームジャー ¥990(ニュートラル.ブラック、ダークブラウン、ミディアムブラウン、ネイビーなど)、写真下:M.モゥブレィデリケートクリーム ¥1,100(どちらもスムースレザー専用)】




■ケア3 防ぐ

シューズケア用品3 ケア1の雨ジミ対策にあったケア3つのうち3番目の”防ぐ”です。

濡れてシミになりにくいようにするには欠かせないものです。”防ぐ”には2種類あります。『防水』と『はっ水』です。防水とは靴の表面にロウや油などを塗って皮革の表面にベールをつくり、水に濡れてもしみ込まないようにガードすることです。(いわゆる油性ワックスです。こちらはあくまで仕上げ剤のためこれだけを塗り続けると革がひび割れをおこすためやはり乳化性クリームで潤いが必要です。)写真上のタイプがこちらで、さらにツヤ出しもできます。

はっ水とは水を弾くという意味で表面が濡れないよう、水を寄せつけないよう加工することです。こちらはフッ素樹脂をベースにしたもので皮革の繊維自体にしみこむため防水とは違いベールをつくらず、通気性は通常の皮革の状態とまったく変わりません。写真下のタイプです。

【写真上:M.モゥブレィハイシャインポリッシュ ¥880(ニュートラル.ブラック.バーガンディ.ミッドタン.ダークタン)、写真下:M.モゥブイレイ プロテクターアルファー ¥1,650】

起毛素材のケア(シューズ、BAG共通)

■スエード、ベロア、ヌバックのお手入れ

革の裏側にあたるスエード、ベロア。革の表面を毛羽立たせたヌバック、どれも起毛素材と呼ばれる革素材です。起毛素材はクリームを塗ることが基本出来ない為、スプレータイプのケア用品を使用します。ケアの手順は下記の通り。
1.ブラッシング(起毛素材のお手入れの基本です、毛の間に入り込んだホコリ等を固めのブラシで払います。)
2.クリーナーで汚れをふき取る。(スエード&ヌバックシャンプー又は、スエードクリーナー)
3.防水スプレー、防水&栄養スプレーを吹き付ける。(プロテクターアルファーか、スエードカラーフレッシュ)

以上が起毛素材の基本的なお手入れです。非常にシンプルで、手軽にできます。
毎回2.のクリーナーを行う必要もなく、ブラッシングと防水スプレーこれでOKです。
防水スプレーには栄養が入った、スエードカラーフレッシュという商品があります。
「スエードは雨の日には使えない」と思い込んでいる方が多いと思いますが、ケアを行った起毛素材は雨をよくはじきます。逆に雨の日にこそ起毛素材の革靴を履いてください。
起毛素材の新たな魅力が発見できますよ!



【プロホワイトブラシ ¥1,100、M.モゥブイレイ スエード&ヌバックシャンプ ¥1,650、M.モゥブイレイ スエードクリーナー ¥1,320、M.モゥブイレイ プロテクターアルファー ¥1,650、M.モゥブイレイ スエードカラーフレッシュ ¥1,650】

BAG(スムースレザー)のケア

■スムースレザーで作られたBAGのケア

基本は保革と防水が中心になります。手順は下記の通り。
1.ブラッシング
2.デリケートクリームを薄くまんべん無く塗る。
3.ブラッシングして、デリケートクリームを均一に行き渡らせる。
4.防水スプレー、を吹きかける。(プロテクターアルファー)
以上です。
デリケートクリームの中に含まれる界面活性剤である程度の汚れがおちますので、私共はBAGなどの革のお手入れにはステンリムーバーのような溶剤は使いません。
ブラシは馬毛などの素材でも構いません。


【プロホースブラシ ¥1,320、M.モゥブイレイ デリケートクリーム ¥1,100、M.モゥブイレイ プロテクターアルファー ¥1,650】

■雨じみの落とし方1

雨じみの落とし方1 以前にご紹介しました、雨じみの落とし方についてここで詳しくご説明します。雨じみにはサドルソープという皮革専用せっけんを使用します。

1.靴が水に...このように水に浸かってしまったらどうしようもできないとお考えではないですか?

2.きれいなくらい見事に水に濡れてしまっています。この状態のものを洗っていきます。

3.まず最初に、バケツに水を張りスポンジで靴全体をまんべんなくぬらしていきます。(決してジャボンと水の中に入れたりしないでください)もし油性ワックスなどをたくさんお使いで水の入りが悪い場合、先に専用の”ステインリムーバー”で油分を落とします。

4.このように全体を濡らします。

■雨じみの落とし方2

雨じみの落とし方2 雨じみの落とし方1に続き”洗う”作業です。

1.スポンジでサドルソープを泡立てます。スポンジでせっけんを何度もこするような感じで。

2.泡立てたスポンジで円を描くように洗います。

3.サイドもまんべんなく洗います。

4.全体を洗います。

■雨じみの落とし方3

雨じみの落とし方3 1コマとんでしまいましたが、前回の”雨じみの落とし方2”に続き3の拭き取りです。

1.乾かす際は新聞紙などを詰め込み、写真のように置きます。

2.乾かす前に必ず泡を拭き取ります。

3.乾いた布などで全体を拭き取ります。サドルソープには保革成分が含まれているため、落とすというより泡を少し残し拭き取るという感じで。

4.洗い終わったあとの状態です。

【※注 必ず自然乾燥にしてください。ヒーターなどは革が変化してしまいます。】

■雨じみの落とし方4

雨じみの落とし方4 乾かしたあとの仕上げです。

1.これが乾いたあとの状態です。見事にきれいで洗う前に比べ、革が潤いを取り戻しています。

2.洗いっぱなしにせず、乳化性のクリームを塗り込みます。

3.クリームの余分なものや、ミゾに入ったクリームをブラシで落とします。さらにブラッシングでツヤも出ます。

4.このような作業で完成です!!

雨じみができなくても靴にとって洗いは必要ですので定期的に汚れを落としてあげることが大切です。汚れた上からクリームを塗るのではなく一度きれいにし毛穴をひらいてあげてから保革すると浸透もよくなります。